公認心理師試験 『これ1冊で!最後の肢別ドリル』
●全分野肢別チェック369肢
●全分野肢別チェック369肢
左頁に分野別の肢別問題、右頁がその解説という構成なので、すぐ答えをチェックできます。
公認心理師試験全分野をさくさく369肢でチェック!
【目次】
1.公認心理師の職責
2.心理学概論
3.臨床心理学概論
4.心理学研究
5.心理学統計
6.心理学実験
7.知覚・認知心理学
8.学習・言語心理学
9.感情・人格心理学
10.神経・生理心理学
11.社会心理学
12.発達心理学
13.障害者(児)心理学
14.心理的アセスメント
15.心理学的支援法
16.健康・学校心理学
17.福祉心理学
18.教育・学校心理学
19.司法・犯罪心理学
20.産業・組織心理学
21.人体の構造と機能及び疾病
22.精神疾患とその治療
23.関係行政論
●左頁=肢別問題
3.臨床心理学概論 一部抜粋
- 防衛機制の隔離とは,「個人が,知覚してはいるけれども,それを自分で認めてしまうと不安になるような現実の一部,または全部に対して,それを現実として認知することを無意識のうちに拒絶すること」である。
- Mahler,M.S.は,分離-個体化理論を提唱した。
- Fromm,E.は,権威主義的性格を提唱した。
- Bateson,G.は,一般システム理論を提唱した。
- Frankl,V.は,現存在分析を創始した人物である。
- Sullivan,H.S.は,関与しながらの観察の重要性を唱えた。
- Rank,O.は,中断療法を提唱した。
- Freud, Sの心理・性的発達段階説のプロセスは口唇期→肛門期→潜伏期→男根期→性器期である。
●右頁=解説
- × 否認が正解である。否認(Denial)とは,Freud, S.が提唱した自我の防衛機制の1つである。例えば,テストで0点を取った学生が,自分は0点をとるような人間ではないという自己評価を優先し,実際に0点を取ったという事実を過小評価してしまう場合が挙げられる。
- ○ 分離-個体化理論は,精神分析家であるMahler, M.S.によって提唱された,乳幼児期の精神発達段階論である。Mahler, M.S.は,母子の実験室観察に基づいて,乳幼児の正常発達において,分離-個体化過程が必須のものであるという仮説を発表した。その過程は,正常な自閉期,正常な共生期,分離-個体化期という3つの発達段階で成り立つ。この発達理論を基に,Bros,P.の「第2の分離-個体化」の概念,Masterson, J.F.やKarnberg, O.T.らの境界例の研究等がなされている。
- ○ 権威主義的性格とは,硬直化した思考によって権威 を無批判に受け入れ,少数派を憎む 性格傾向のことを指す。ドイツの精神分析学者,社会心理学者であり,新フロイト派の1人であるFromm,E.は,この権威主義的性格について,権威ある者への絶対的服従と,自己より弱いものに対する攻撃的性格の共生であると指摘した。
- × 一般システム理論はBertalanffy, L.V.による理論である。家族療法の基礎理論となっている。システムを「互いに影響しあう要素の複合体」として捉えている。
要素間の相互連関性,相互因果性を重視し,1つの統一体としてのシステムに共通して浮かび上がる法則を捉えようとする方法である。表面に現れた結果Bは特定の原因Aから生じると考える直線的因果律ではなく,原因Aと結果Bは相互に影響を与え合うという円環的因果律で問題を捉えるという家族システムの考え方の基礎となっている。Frankl, V. は,実存分析(ロゴセラピー)の人物であり,「意味への意志」を人間の基本的動機と考えた。 - × 現存在分析はBinswanger, L.が提唱した心理療法の立場である。
- ○ Sullivan,H.S.の関与しながらの観察は,自然科学の観察において,観察者は対象に影響を与えない測定機器であることが原則であるが,その対象が人間である場合,観察者はその場に存在することによってすでに対象に何らかの対人的作用を及ぼしているため,その事実を認識した上で観察をせざるを得ない。心理支援の場面において,公認心理師と要支援者がひとつの対人的な場を形成する際には,公認心理師も場の一部であって,その影響を無視した観察はあり得ないとする考え方である。
- ○ 精神分析家であるRank,O.は,意志療法を創始した。彼は,人間には心的外傷を克 服できる生得的な意志の力があるとし,クライエントの主体性を最大限に導き出すことが重要であると考えた。さらに,それまでの精神分析は時間の制限がなく,クライエントの負担が大きいことを指摘し,終結までの回数に制限をもたせる「中断療法」を考案した。
- × 口唇期は,心理・性的発達段階における第一段階である。生後18ヵ月ぐらいまでの時期を指す。この時期の乳児は口唇や口腔周辺に快感を得,主に吸う,噛むことによって快感を得るとされる。肛門期は,心理・性的発達段階における第二段階である。1歳半から4歳ごろまでの時期を指す。この段階の幼児は肛門領域に快感を得るとされる。 この時期にトイレット・トレーニングを経験し,親からの叱責と賞賛を通じて,自分自身をコントロールできるという自信・自律性を獲得する。それにより,自我が芽生える。男根期は,心理・性的発達段階における第三段階である。3,4歳から6歳頃までの時期を指す。エディプス期ともいう。この時期の幼児は性器への関心が強まり,性器から快感を得,性器の違いから男女の違いを自覚する。また,異性の親に性的欲求を向け,ライバルとして同性の親を憎むことにより,エディプス・コンプレックスが生じる。このため生じる去勢不安は,同性の親を同一視することによって解消される。潜伏期は,心理・性的発達段階における第四段階である。潜在期とも呼ばれる。6歳から12歳ごろまでの時期を指す。この時期には,男根期までに獲得された超自我によってリビドーが抑圧される。そして,学業や友人関係にエネルギーが注がれ,自我機能のさらなる発達が促進される。性器期は,心理・性的発達段階における第五段階であり,リビドー発達の最終段階である。それまで自らの身体部位に向けられていた部分的なリビドーが統合され,身体成熟とともに,性的欲求が出現する。これは,自己の身体だけでなく対人関係の中に求められ,愛情対象の全人格を認めた異性を選択し,正常な性生活に入っていくことによって解消される。