●法律特盛(とくもり)
<公認心理師としての職責の自覚>約9%出題
<公認心理師に関する制度>約6%出題
あわせて出題可能性約15%
この二つの分野は「法律」と密接に絡んできます。
公認心理師試験を受験する人の中には、「法律」の無味乾燥さに辟易し、「え~い捨てちゃえ」という凄い決断をする人もいるかもしれません。
あえて言います。もったいない!
実はこれらの「法律に絡む分野」は、法律の基本的法則・一定程度の原理あるいはぶっちゃけ「コツ」をつかんでしまえば簡単に得点できるのです。
それなら勉強したほうが「得」、割と面白い、結構勉強しやすい
さらに、めでたく公認心理師になった暁には、法律関係の正確な知識は、あなたの公認心理師としての身分を守るつよ~い武器に必ずなるのです!
出題可能性が15%程度もあって、勉強しやすく、そして役に立つ!
では、勉強を始めましょう!
企画1 法律特盛の導入頁
企画2 公認心理師の法的医務と罰則の徹底整理
企画3 法律に関する基礎的な知識があれば2度と間違わない問題類型がありますね。
企画4 ここからはガンガン問題を解いてください
企画5 関係行政論
企画1
法律特盛の導入頁です。先ずは「公認心理師法を読む」というユニークな企画です。
企画2
公認心理師の法的医務と罰則の徹底整理
こ・れ・で・も・か、という程、一度は徹底的にやってみましょう!
ついでに一緒に整理
企画3
法律に関する基礎的な知識があれば2度と間違わない問題類型がありますね。例えば「刑罰」です。抜粋
こういう問題が出たとしましょう。
刑法上の罰金刑を受けた者は、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年経過していなければ、公認心理師になることができない。
答えは×。公認心理師法3条2号 「禁錮以上の刑」であり、「罰金刑」は含まれません。
公認心理師法3 条 次 の 各 号 の い ず れ か に 該 当 す る 者 は 、 公 認 心 理 師 と な る こ と が で き な い 。
一 成 年 被 後 見 人 又 は 被 保 佐 人
二 禁 錮 以 上 の 刑 に 処 せ ら れ 、 そ の 執 行 を 終 わ り 、 又 は 執 行 を 受 け る こ と が な く な っ た 日 か ら
起 算 し て 二年 を 経 過 し な い 者
三、四 (略)
細っけーな、と思われましたか?この問題に類する次の問題はどうですか?
公認心理師は、業務上知り得たクライエントの秘密を漏らしてはならず、これに違反した者は1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処される。
答えは×です。公認心理師法46条 「禁錮」ではなく、「懲役」です。
公認心理師法46 条 第 四 十 一 条〔秘密保持義務〕 の規 定に違反した者は 、一 年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する 。
またまた細かいなあ、と思われましたか?
実は、このような問題は、法律を勉強している人であれば常識的に知っている次のことが分かっていれば、1回勉強したらもう間違えません。それは、刑法上の刑罰の種類です。
刑法上の刑罰は、厳しい順に、死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料となります。
刑法
第九条 死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
第十条 主刑の軽重は、前条に規定する順序による。ただし、無期の禁錮と有期の懲役とでは禁錮を重い
刑とし、有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるときも、禁錮を重い刑とする。
ん?ん?懲役と禁錮はどう違うの?
実は、ここに質問①で、禁錮以上の人間はアウトで罰金を受けた人間はOKなの?ということが関係してきます。
さて、先ず身体を拘束する、つまり刑務所に入れられるのは、懲役と禁錮と拘留です。懲役と禁錮の違いは,懲役の場合には刑事施設における「所定の作業」(刑法12条2項)が科されている点にあります。これに対して、罰金と科料は、刑務所には入れないがお金を払わせることでお灸をすえるということです。つまり、平たく言えば、国家の判断としての刑の重さは、基本的に、懲役>禁錮>罰金となります。
例えば、公認心理師の欠格事由が禁錮以上の刑であるのは、刑務所に入るような人間はアウトであるが、まあ罰金なら勘弁してやろうという価値判断をしているということです。
公認心理師法3条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算
して二年を経過しない者
企画4
ここからはガンガン問題を解いてください
公認心理師の職責
1.公認心理師法の目的は,公認心理師の資格を定めて,その業務の適正を図り,もって国民の心の健康及び体の健康の保持に寄与することである。
要心理支援者の安全
2.公認心理師法は,要心理支援者を自傷行為や自殺などの危険から守ることを公認心理師の重要な責務として規定している。
公認心理師の欠格事由
3.成年後見を受けている者は,公認心理師となることができない。
4.家庭裁判所により「保佐人」が付けられている者は公認心理師になることができないが,「補助人」がつけられていても被補助人は公認心理師になることは可能である。
1.× 公認心理師法1条は,「この法律は,公認心理師の資格を定めて,その業務の適正を図り,もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。」と規定している。保険医療,福祉,教育,司法,産業などの各分野において,一人ひとりが幸福な生活を送ることができるよう,心の面への配慮をすることが公認心理師の役割として期待されている。これに対し,「からだ」すなわち「身」の面への配慮については,公認心理師の業務の直接の範囲ではない。
2.× 公認心理師法には要心理支援者の「安全」に関する文字も規定も存在しない。しかし,規定がないから何の義務もないわけではなく,要心理支援者の安全を確保する必要があることは当然の倫理的義務であると考えられる。この点は,法案の検討過程でも明らかにされている。平成29年5月31日公認心理師カリキュラム等検討会報告書「1. 公認心理師としての職責の自覚 1-3. 心理に関する支援を要する者等の安全を最優先し,常にその者中心の立場に立つことができる。」と記載され
ている。公認心理師必携テキスト・GakkenP.13。
3.○ 公認心理師法3条「次の各号のいずれかに該当する者は,公認心理師となることができない。
① 成年被後見人又は被保佐人」
成年後見とは何か,皆さんも何となくは知っていると思われるが,ここでちょっと勉強しておく。民法7条には次のように規定されている。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については,家庭裁判所は,本人,配偶者,四親等内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人,補助監督人又は検察官の請求により,後見開始の審判をすることができる。」そして,後見開始の決定が為されると,その人は「成年被後見人」となり,後見人の同意がなければ単独では法律行為(例えば自動車を買うとか,土地を買うというような自分の財産処分)もできない人が他人の心理支援ができるわけがないということである。同じ理由で「被保佐人」も公認心理師の欠格者となる。ついでに,被保佐人についての民法規定をみておく。民法11条「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については,家庭裁判所は,本人,配偶者,四親等内の親族,後見人,後見監督人,補助人,補助監督人又は検察官の請求により,保佐開始の審判をすることができる。」条文を読むと,「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分」とあるから,後見開始の「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」より少し軽い状態である。
4.○ 民法上の補助人が付されていることは公認心理師の欠格事由ではない。ちなみに補助人制度は1999年(平成11年)の民法改正の際に新たに設けられた制度である。被補助人とは,「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者」で,家庭裁判所より補助開始の審判を受けたものをいう(民法15条,16条)。補助人が付けられるのは,後見人や保佐人を付する場合よりも精神障害の程度が軽い場合である。例えば,ある成年者が不動産を所有していた場合に,不動産の売買を一人で行うことは不可能ではないが,必ずしも適切に行えない可能性があるため,他人の援助を受けたほうがよいような場合である(なお,補助開始の審判をするには,本人の同意が必要であり,本人の同意が得られない場合には,周囲の人がどうも危なっかしいと言って本人に補助を開始することを勧めても,本人が嫌だと言えば補助開始はできない。この点,成年後見や保佐とは異なる。)。
企画5
関係行政論
次は 関係行政論 です
先ずブループリントに出てくる5分野の法律と制度を一覧してみましょう。
なんと49項目もあります。しかも、その対象範囲は多岐に亘り、且つ各分野は法律と規則、そして決定・通達などで構造的に精緻に組み立てられています。日本の官僚の優秀さに呆然としませんか。と、呑気なことをいっていても、試験には何の役にも立ちません。そこで、対策の出発点として、我らが聖典「ブループリント」を眺めることから始めることにしましょう。
この中で略称だけ覚えていると危なそうなのは、例えば、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律→障害者虐待防止法、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律→高齢者虐待防止法ですね。略称からは「養護者に対する支援」という大切な立法目的が抜けてしまっています。例えば次のような問題はどうですか?
× 高齢者虐待防止法は略称であって、その正式名称は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」であり、「養護者に対する支援」も立法目的に含まれている。
○ 障害者虐待防止法は略称であって、その正式名称は「障害者の虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」であり、「養護者に対する支援」も立法目的に含まれている。